2011年1月19日水曜日

研究者として売れていくということ

先日、一緒に仕事をするVisiting Scientistと話していて、どうやって講演の招待を受けるようになったり、場合によってはヘッドハントされるようになったりするのか、といったことが話題になった。確かにいつの頃からか講演の招待を受けるようになり、また、いくつかポジションに誘われたりもした。しかし改めて思うと、なぜ、どうやって、というのは至極尤もな疑問だが、すぐには答えが思い当たらない。

思うに、学生として既に業界で有名な人は非常に少ない。小生も例外ではない。やはりPhDが登竜門だろう。PhDをとって地道に研究を続け、それなりにPaperを出したり、Conferenceで発表したりしていると、そのうちにPaperのReviewを頼まれるようになる。地道に成果を積み重ねていくことで、だんだんといろんな人に知られるようになる、ということではないかと思う。

もちろん、誰もが眼を引くような研究トピックに当たって一発で有名になるようなこともあるかもしれない。しかし、世の中のほとんどの研究者にはそんな幸運はなく、それでも業界で名が知られていくのは、やはり地道な積み重ねとしか思えない。Conferenceに行けばいつもどこかで会ったことのある人と会い、お互いにお互いを認識し始める。それを何年もやれば、お互いConferenceで会う人達、という間柄になる。お互いの仕事をそれなりに知ることにもなるし、そうやって人の輪が広がる。あの人おもしろいことやってたよ、という話が伝わって、別のところから講演を招待されるようにもなる。するとそこでまた新たな人の輪に加わることができる。この繰り返しである。

科学は積み重ねである。失われることはない。そこが、世の中のいろんな事とは違う、科学の特徴的な部分でもある。キャリアの長さがそのまま科学者としての経験値に反映することになる。このため、科学者において、年功序列が自然と機能する。アメリカ的な実際的な人材評価で、やはり基本的には年功序列に従っているのは、科学が積み重ねであることにも一因があるだろう。もちろん過去の輝かしい実績にもかかわらずその後モチベーションを失えば評価は低くなるが、ここで言っているのはそういうことではなく、Consistentに仕事を続けている場合の話である。

さて話を戻すと、いかにして講演の招待を受けるようになるか、ということ。結局のところ、地道に良い仕事を続けていくうちに、じわじわと業界内のクチコミで評判が広がっていく、ということではないかと思うのだが、どうだろうか。

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